The English version of this statement is posted on our Interlibrary Loan and Document Delivery (ILLDD) page.
日本著作権法第31条改正に関するNCCの声明
最初に、北米日本研究資料調整協議会(NCC)はデジタル化資料送信サービスや遠隔複写サービスを中心とする国立国会図書館 (NDL) の取り組みに感謝の意を表します。本協議会は国立国会図書館や他の研究機関とともにGlobal Inter-Library Loan Framework(GIF) プロジェクトなどを通して日米間の図書館相互貸借の円滑化に尽力して参りました。GIFは2018年に終了しましたが、以降、NCC Inter-Library Loan and Documentary Delivery CommitteeはNDLとの協力のもと、図書館向けデジタル化資料送信サービスが円滑に導入されるように努めています。しかしながら、このような努力にもかかわらず、日本の資料は著作権法による制限などで入手が困難な場合が多く、現在のパンデミックの状況下で資料へのアクセスは更に困難となっています。本協議会はここに、日本国外からのアクセスの向上のために、日本著作権法第31条の改正のさらなるご検討をお願い申し上げます。尚、この要望書は日本文化教育交流会議 (US-Japan Conference on Cultural and Educational Interchange)、日米友好基金 (Japan-US Friendship Commission)、国際交流基金米国日本研究諮問機関 (Japan Foundation American Advisory Commission)の支持を受けて提出するものです。
ご存じの通り、北米ではコロナ禍により、昨年3月以降大半の学術研究機関及び図書館の施設は閉館を余儀なくされ、現在も物理的な資料へのアクセスは非常に限られています。ワクチンの導入予定も定かでない現在、これら多くの大学機関にとって再開に向けた計画を立てることも難しい状態です。このため、電子資料へのリモートアクセスの需要は飛躍的に高まり、図書館員がレファレンスサービスを提供する場合にも、電子資料に頼らざるを得ません
日本の資料は、コロナ禍以前の平時でも、著作権法による制限などで常に入手が困難な場合が多いのですが、現在のパンデミックは既存の障害を更に悪化させた形となっています。私達は、昨年12月4日から21日まで文化庁が実施した「図書館の権利制限に関する規則の改正」の提案に寄せられたパブリックコメントを基にした報告書に私達のコメントが反映されることを望んでいました。
しかしながら、残念なことに報告書には教育や研究のために日本語資料を必要とする海外の利用者のニーズが十分に反映されてはおりません。従いまして、本協議会は以下の通り、関係機関によるアクセスの改善に向けたご検討をお願い申し上げます。
このパンデミックにより、日本及び世界の図書館が利用者に提供する資料へのアクセス方法、また利用者が資料にアクセスする方法が劇的に変わりました。NCCは、関係各機関が学術環境のニーズに柔軟に対応し、この問題についてさらに議論することを、それにより日本の資料へのアクセスの障害が取り除かれ、よりシームレスな情報へのアクセスが可能になるよう強く望むものです。
北米日本研究資料調整協議会(NCC)について
NCCは、米国を拠点とする国際的な非営利団体(501-C-3)です。活動の大半は、北米大小の学術機関に所属する図書館司書と研究者のボランティアで構成されるネットワークにより、運営され、様々な委員会、ワーキンググループ、タスクフォースによってプログラムの実施やリソースの共有をしています。1991年の設立以来、NCCの主なミッションは、日本研究の分野において、新しい技術やリソースへのアクセスを拡大することです。 NCCのすべてのサービスはウェブサイト(http://nccjapan.org/)から誰でも自由に利用できます。このウェブサイトは、構成員間のコミュニケーションを促進し、北米および世界中の日本研究分野に不可欠なインフラストラクチャのサポートを提供しています。